携帯契約詐欺(MNP詐欺)とは?スマホ横流しの「闇バイト」から始まる被害とその手口

携帯契約詐欺(MNP詐欺)とは?スマホ横流しの「闇バイト」から始まる被害とその手口

「携帯電話を契約し、その端末を譲ってくれれば高額な報酬を出す」といった勧誘が、SNS上などで増えています。

一種の「闇バイト」ともされるこのやり取りは、最終的に多額の通話代を支払わされたり、刑事罰に問われたりする結果に繋がりかねません。

  • 携帯契約詐欺の手口
  • 携帯契約詐欺の被害者が刑事罰に問われる可能性について
  • 横流しされた携帯電話のゆくえ
  • 携帯電話詐欺の被害に遭った場合の対応方法
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「携帯契約詐欺」(あるいは携帯電話契約詐欺)と呼ばれるトラブルについて、分かりやすくまとめました。

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携帯契約詐欺とは?主な手口と相談例

携帯契約詐欺とは?主な手口と相談例

「携帯契約詐欺」と呼ばれるトラブルは、具体的にどういった内容のものなのでしょうか。

実際に消費生活センターへ寄せられた事例などをもとに解説します。

「新しく契約した携帯端末の横流し」に対し高額なアルバイト代を提示される

典型的な携帯契約詐欺とは、SNSなどにおいて「君の名義で携帯電話を契約し、その端末を譲り渡してくれれば高額な報酬を支払う」と持ちかけるものです。

実際に契約当初、謝礼金を渡されたという例は多々あります。

そのためはじめのうちは、相手方の言葉を信じてしまうという例が珍しくありません。

■典型的な携帯契約詐欺の相談例

半年前、高校時代の同級生に、「いいアルバイトがある」と誘われ、男性を紹介された。一緒に携帯ショップに出かけて携帯電話4台を自分名義で契約して、男性に契約書と携帯電話機を渡し、謝礼金4万円を受け取った。「電話会社から請求書が届いても無視してかまわない」と説明を受け、指示に従った。

最近、携帯電話会社の弁護士から40万円程の督促状が届いた。同級生には、男性に連絡してほしいと伝えたが、連絡が取れないと言われた。

引用元:北海道消費生活センター公式サイト

事前の約束とは違い、携帯電話料金は名義人自身が支払うことになる

多くの場合、携帯契約詐欺では相手方から「電話料金や端末代金を支払う必要はない」と伝えられます。

ですが実際のところ、支払いの義務を負うのは名義人自身です。

そして譲り渡した携帯電話の利用分について、高額な請求が届くことも珍しくありません。

支払い義務のある携帯電話料金の延滞を続けると、下記のような問題が生じる可能性があります。

  • 信用情報に異動情報が残る(いわゆるブラック状態に陥る)
  • 最終的に訴訟を起こされ、財産を没収される
  • 以後その携帯電話会社で契約を結ぶことができなくなる
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名義人が携帯電話を解約することは可能ですが、いったん発生した請求は消えません

怪しいバイトを紹介した人と連絡が取れなくなる

「携帯料金を支払わなくてもよいと聞いたのに、話が違う」と相手方に訴えかけようにも、このときにはすでに連絡が取れなくなってしまうことが多いです。

特にSNSなどを通じて知り合った相手方の、本名や住所などが何も分からないという場合、対処のしようがありません。

SNSなどでの「闇バイト」紹介の他、闇金融(ヤミ金)がきっかけとなる場合も

携帯電話詐欺に準ずるトラブルは、いわゆる「闇金融」(違法金融業者)によって持ちかけられることもあります。

「信用を確認する」といった理由をつけて、あるいは返済を緩和する条件として、新しく契約した携帯電話端末の郵送を要求されたという事例は、これまでに数多く寄せられています。

■闇金による携帯電話の横流しの要求例

現在、無職で消費者金融4社から合計170万円の借り入れがある。返済に困り、ネットで見つけた貸金業者に問い合わせたところ、「170万円を貸し付けるために信用度を確認する必要がある」などと言われ、17万円分の携帯電話を契約してくるよう指示された。

引用元:東京都公式サイト「東京くらしWEB」
メルカリで詐欺罪は適用される?虚偽表示や商品が届かない場合への対処法 メルカリで詐欺罪は適用される?虚偽表示や商品が届かない場合への対処法

闇金の相談については詳しくはコチラ
闇金トラブルなら弁護士に相談!メリットや闇金に強い弁護士の選び方を解説

携帯契約詐欺では「被害に遭ったのに逮捕」される可能性がある?

携帯契約詐欺では「被害に遭ったのに逮捕」される可能性がある?

携帯契約詐欺では、「騙された被害者」である人が刑事罰に問われる可能性があります。

ここからは、自分の名義の携帯電話を横流しすることで問われる罪について解説します。

有償で携帯電話を横流しすると「携帯電話不正利用防止法」に接触しうる

自分の名義で契約した携帯電話を有料で譲渡した場合、「携帯電話不正利用防止法」に接触する可能性があります。

結果的に相手方に騙された形であっても、犯罪行為を行ったことが確かならば、刑事罰に問われ得ます。

業として有償で、ご自身名義の携帯電話回線を第三者へ譲渡する、または他人名義の携帯電話を受け取った場合、「携帯電話不正利用防止法違反」という犯罪行為に該当し、2年以下の懲役、または300万円以下の罰金に処せられることがあります。

引用元:NTTドコモ公式サイト

ここでいう「業として」とは、報酬を得るために継続的に、携帯電話を横流しする行為を指します。

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携帯電話不正利用防止法」は、詐欺や恐喝などに使われる「契約者を特定できない携帯電話」を発生・流通させないために制定されました。

横流しによって利益を得た場合には「詐欺罪」が適用される可能性もある

携帯電話を横流しすることで得られる収入を目当てに、意図的に携帯電話会社を騙したと見なされた場合には、詐欺罪が適用される可能性があります。

詐欺罪の刑事罰は携帯電話不正利用防止法違反より重く、10年以下の懲役が課せられ得ます。

■詐欺の疑いによる逮捕例

4月22日、名古屋市北区内の携帯電話販売店で、譲渡する目的を隠して、自己で使用するように装い、携帯電話機等をだまし取るとともに、利用契約により財産上不法の利益を得たとして男3人(29歳から33歳)を逮捕しました。

引用元:愛知県警察公式サイト

携帯契約詐欺で横流しされた携帯電話はどうなる?

携帯契約詐欺で横流しされた携帯電話はどうなる?

「携帯契約詐欺」と呼ばれるトラブルで横流しされた携帯電話は、振り込め詐欺などの犯罪行為に用いられる可能性があります。

第三者名義の携帯電話を使えば、詐欺や恐喝などの犯罪行為を行った場合であっても追跡が困難となるでしょう。

このように携帯電話を他人に横流しすることは、詐欺などの犯罪行為に加担する行為ともなり得ます。

また詐欺などの被害に遭った人が警察に相談することで、名義人の「携帯電話不正利用防止法」への接触などが明るみに出る可能性もあるでしょう。

携帯契約詐欺の被害にあったらどうすればいい?

携帯契約詐欺の被害にあったらどうすればいい?

「携帯電話を契約し譲渡したところ、相手方と連絡が取れなくなってしまった」という場合、どういった対応を取ればよいのでしょうか。簡潔に解説していきます。

端末代金などの負担を加味しても携帯電話は解約するべき

「携帯契約詐欺に遭ってしまった」と思ったら、できる限り早く携帯電話を解約するべきでしょう。

この場合、端末代金や定期契約についての違約金を含む、重い請求が発生する可能性があります。

ただしこの支払い義務は、携帯電話の契約を続けていても消えることはありません。むしろ、携帯電話を放置し続けていても請求が増えるのみです。

高い勉強代になるかもしれませんが、できる限り早く債務を清算し、「違法に使われている携帯電話の契約者」という立場から抜け出すことがベストでしょう。

法律に接触している可能性があるなら警察への相談はリスクがある

継続的に携帯電話を横流しし収入を得ている場合、「携帯電話不正利用防止法」などの法律に接触する可能性があります。

そのため警察へ相談を行った場合、犯罪行為に加担したと見なされるリスクがあります。

■携帯契約詐欺に似たトラブルの例

ヤミ金を利用するにあたり、業者から口座に入金するので通帳が必要だと言われ、通帳やキャッシュカードを送ったところ、通帳は返送されたが、記帳すると激しいお金のやり取りがあったことが分かり、何か恐ろしいことに巻き込まれたと思い警察に相談し経緯を詳しく話すと、法律違反と言われ、罰金を取られた

引用元:北海道消費生活センター公式サイト

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消費生活センターなら電話で簡単に相談できる

全国に設置されている消費生活センターや消費生活相談窓口は、詐欺などの消費者トラブルへの相談に応じています。

日本国内から「188」番に電話を掛けることで、最寄りの相談窓口への案内を受けることが可能です。

「警察に届け出るべきか知りたい」「自分が今、何をどうすればいいのか分からない」という場合には、まず消費生活センターなどに尋ねてみると良いでしょう。

相手方への返金を要求する場合には弁護士への相談も一考

相手方の連絡先が分かっており、被害額を取り戻したいという場合には、詐欺事件などに強い弁護士へ相談するのも一考です。

この場合は「携帯料金を支払う必要はない」といった、事実と反するSNS上のやり取りなどを記録・保存しておきましょう。

まとめ:携帯契約詐欺の手口と被害に遭った場合の対応について

まとめ:携帯契約詐欺の手口と被害に遭った場合の対応について

携帯契約詐欺は、被害者の立場となる人が刑事罰に問われたり、間接的に犯罪行為に加担してしまう可能性があるトラブルです。そのため警察への通報がためらわれるという方も少なくはないでしょう。

事実として損害回復が難しいトラブルではあるものの、「莫大な携帯料金や端末代金を支払わされてしまった」という場合には、消費生活センターや弁護士に相談してみることをおすすめします。

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