融資保証金詐欺とは?詐欺の手口や事例、対策や相談先、返金を求める方法を解説

融資保証金詐欺とは?詐欺の手口や事例、対策や相談先、返金を求める方法を解説

「お金を借りるつもりが、途中でお金を支払わされた」これは、融資保証金詐欺と呼ばれる、詐欺の可能性が高いです。正規の貸金業者が、融資の実行前に金銭の振り込みを要求することはありません。

融資保証金詐欺の被害は年々減少傾向にありますが、令和4年にも142件の被害が認知されており、決して油断することのできない犯罪です。

今回は、融資保証金詐欺について、手口や具体的な事例、被害に遭わないための対策や相談先、返金を求める方法などを解説します。

融資保証金詐欺とは

融資保証金詐欺とは

融資保証金詐欺とは、融資のための保証金などの名目で金銭をだまし取る詐欺のことです。昔からある詐欺の手口ですが、形を変えながら現在でも被害者を出しています。

ここでは、融資保証金詐欺の認知、検挙の状況、具体的な手口や事例を紹介します。

融資保証金詐欺の認知・検挙状況

融資保証金詐欺は、平成17年には年間の認知件数が9,932件にも上り、約67億円もの被害を発生させました。その後は、詐欺の手口が一般に知られるようになったこともあり、被害は減少しています。

融資保証金詐欺の最近5年間での認知・検挙の状況は、次のとおりです。

認知件数検挙件数
平成30年421167
令和元年34891
令和2年295198
令和3年15630
令和4年14237
参考:特殊詐欺認知・検挙状況等について|警察庁

融資保証金詐欺の認知件数は減少しているものの、年間100件以上の被害が発生しているため、十分に注意すべき詐欺の手法と言えます。

一般に特殊詐欺の被害者は、高齢者が多いです。しかし、融資保証金詐欺は、融資を申し込む機会のある現役世代が被害者となるケースも多くなっています。

融資保証金詐欺の手口・事例

詐欺に遭わないためには、手口や事例を理解しておくことが重要です。融資保証金詐欺の典型的な手口は、次のような流れで行われます。

  1. 貸金業者を名乗る電話、メール、チラシなどで融資の勧誘を行う。
  2. 低金利、即日、債務の一本化など好条件での融資を約束する。
  3. 融資を実行するための「保証金」「手数料」などの名目で、先にお金を振り込ませる。レターパックで現金を郵送させる。
  4. 融資は実行されず、連絡も取れなくなる。

最近では、実在する有名な貸金業者や金融機関の名称を使用するケースも多いです。さらに、「保証金」や「手数料」を用意させるために、他社でお金を借りることを指示するケースもあります。

次に、最近の具体的な事例を紹介します。

事例①
  1. インターネットで見つけたウェブサイトで融資の申し込みを行う。
  2. 7か月分の返済額を先に振り込めば、融資を実行すると説明される。
  3. 7か月分の返済額である32万円を振り込む。
  4. さらに保険供託金、保証金などの名目で計100万円を振り込む。
  5. 結局、融資は実行されなかった。
事例②
  1. インターネットで見つけたウェブサイトで300万円の融資を申し込む。
  2. 返済金や保全供託金などの名目で、計90万円を3回にわたって振り込む。
  3. 融資は実行されず、ウェブサイトもなくなった。
事例③
  1. FAXでチラシを送ってきた消費者金融で融資を申し込む。
  2. 500万円の融資を約束される。
  3. 融資を実行するには10%の保証金が必要と説明されて、50万円を振り込む。
  4. 融資は実行されず、業者とも連絡が取れなくなった。

融資保証金詐欺の勧誘方法やお金を振り込ませる名目は、手口・事例によってさまざまです。しかし、「好条件での融資を約束する」「融資の実行前にお金を要求する」という点は、どの事例にも共通しています。

どんなに魅力的な話でも、融資を受ける前にお金を要求されるのは詐欺と認識するようにしてください。

融資保証金詐欺に遭わないための対策

融資保証金詐欺に遭わないための対策

融資金保証詐欺の典型的な手口や事例を理解していても、手口の巧妙化によって詐欺に気付かない危険性もあります。

融資保証金詐欺に遭わないための対策としては、次の4点が重要です。

  1. 融資前に現金の振り込みを要求するのは詐欺と認識する
  2. 業者の情報や電話番号をサイトなどで確認する
  3. 貸金業者としての登録の有無を確認する
  4. うまい話に飛びつかない

以下、それぞれの対策について具体的な内容を解説します。

融資前に現金の振り込みを要求するのは詐欺と認識する

1つ目の対策が、融資保証金詐欺に遭わないために最も重要です。

正規の貸金業者、金融機関は、融資の実行前に振り込みを要求することはありません。「返済金」「保証金」「保険供託金」など、どんな名目であっても、融資の実行前に金銭を要求するのは詐欺と認識してください。

「融資が実行されるまでは、絶対に金銭を支払わない」ことを意識しておけば、融資保証金詐欺には遭いません。

金融商品詐欺については下記で解説しています。
金融商品詐欺の手口から対策まで|知っておくべき情報まとめ

業者の情報や電話番号をサイトなどで確認する

融資保証金詐欺のチラシやメールには、実在しない業者が記載されているケースがあります。また、実在する業者を名乗っているものの、電話番号が実際の業者とは一致していないというケースも多いです。

融資の申し込みをする際は、チラシやメールだけの情報を信じるのではなく、

「チラシに記載された業者が実在する業者なのか」「業者のサイトに記載された電話番号とチラシの電話番号は一致しているか」など

インターネットで業者の情報を十分に確認するようにしてください。

貸金業者としての登録の有無を確認する

貸金業を営むには、貸金業者としての登録が必要です。登録のない業者は、違法業者なので絶対に利用しないでください。

貸金業者の登録については、金融庁のサイトで確認できます。

参考:登録貸金業者情報検索サービス|金融庁

うまい話に飛びつかない

融資保証金詐欺のチラシやメールには、「保証人不要」「即日融資」「ブラックでも融資可能」など、うまい話が並べられています。

融資についての「うまい話」は、詐欺の可能性が高いです。急ぎの融資を求めている場合には、正常な判断ができずに「うまい話」に飛びつきがちなので、十分に注意するようにしましょう。

融資保証金詐欺の相談先

融資保証金詐欺の相談先

融資保証金詐欺に遭ってしまった場合、相談先としては次の3つがあります。

  1. 警察
  2. 消費者センター
  3. 弁護士

ここでは、3つの相談先の特徴を解説します。

警察

詐欺に遭ったときに、相談先として真っ先に思い浮かぶのは警察でしょう。

警察への相談は、費用もかかりませんし、犯人の検挙・逮捕につながる可能性があります。警察の担当者によっては、業者に連絡して返金を促してくれることもあります。

しかし、警察の役割は、事件の捜査です。そのため、相手方からお金を取り戻すために積極的に動いてくれるわけではありません。犯人が捕まっても、お金が戻ってこないケースは多いです。

警察は、犯人を捕まえて欲しいときの相談先としては最適ですが、返金を目的とするときの相談先としては不安があります。

消費者センター

消費者センターは、消費生活全般に関する困りごとを相談できる行政機関です。相談料は無料で、返金を求めるためのアドバイスをしてくれます。ケースによっては、業者に連絡して返金を促してくれることもあります。

しかし、消費者センターは、被害者の代理人として業者と交渉してくれるわけではありません。何かしらの強制力があるわけでもないため、業者に無視されてしまうと問題の解決にはつながりません。

弁護士

被害金の返金を求めるのであれば、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に依頼すると、訴訟や強制執行などの法的手段を駆使して返金のために動いてくれます。

ただし、弁護士に依頼したとしても、必ずお金を取り戻せるわけではありません。「弁護士費用をかけたのに、結局取り戻せなかった」とはならないよう注意しましょう。無料相談を受け付けている法律事務所も多いので、まずは相談から始めてみてはいかがでしょうか。

融資保証金詐欺の返金を求めるには?

融資保証金詐欺の返金を求めるには?

融資保証金詐欺の返金を求めるには、次の流れで手続きを進めます。

  1. 詐欺の相手方を特定する
  2. 相手方と交渉する
  3. 返金を求める裁判を起こす

以下では、それぞれの内容を具体的に解説します。

詐欺の相手方を特定する

まずは、詐欺の相手方を特定できなければ具体的な行動は起こせません。詐欺業者は、会社名や住所、電話番号などを偽っているケースも多いです。

相手方が会社の場合は、商業登記簿で相手方の詳しい情報を確認するようにしてください。

相手方が表示している業者名と住所地で登記簿を取得できない場合、個人で手続きを進めるのは難しいです。弁護士であれば、弁護士照会を活用して電話番号や銀行口座から相手方を特定できる可能性があります。

相手方と交渉する

相手方の住所が判明している場合には、内容証明を送付して返金対応を求めます。

内容証明には、一定の期日までに返金に応じなければ、訴訟の提起や被害届の提出を行うとの警告を記載するのが効果的です。内容証明は、それ自体に強制力がある文章ではありませんが、返金を求める強い意思を相手に伝えることができます。

本人の交渉には応じない場合でも、弁護士が代理人として交渉すると返金に応じてくれる可能性もあります。

返金を求める裁判を起こす

交渉での返金に応じてもらえない場合には、返金を求める裁判を起こします。裁判で判決を受けると、相手方の銀行口座を差押えるなどの強制執行手続きができるようになります。

裁判では、証拠によって詐欺被害を立証しなくてはなりません。詐欺の主張・立証は、法律の専門的な知識がなければ難しいため、裁判を起こす場合には弁護士に依頼するのがおすすめです。

まとめ

融資の実行前にお金を要求するのは、融資保証金詐欺です。融資を急ぐ場合や好条件を提示された場合でも、融資の実行前にお金を支払わないようにしてください。

詐欺被害に遭ってしまった場合は、弁護士への相談をおすすめします。警察に被害届を提出するのも、弁護士に相談してからの方が効果的なケースが多いです。無料相談や休日相談を受け付けている法律事務所も多いので、まずは弁護士に返金の方法を相談してみてください。

下記の記事では詐欺の返金について詳しくまとめています。
詐欺で騙し取られたお金返ってくる!返金を受け取れる5つの方法

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