「外国人を名乗る人が恋愛感情を利用してお金をだまし取る詐欺」を国際ロマンス詐欺と言います。近年、マッチングアプリを利用した国際ロマンス詐欺の被害が増えており、ニュースを騒がせることも多いです。
マッチングアプリで、実際には会ったことがない人からお金を要求されるのは詐欺の可能性が高いです。国際ロマンス詐欺の手口を理解して、詐欺被害に遭わないよう注意しましょう。
今回は、マッチングアプリを利用した国際ロマンス詐欺について、手口や実例、詐欺に遭わないための対策や詐欺被害に遭ってしまったときの相談先などを解説します。
近年、国際ロマンス詐欺のターゲットを見つける手段として、マッチングアプリが利用されています。マッチングアプリで外国人を名乗る人とマッチングした際には、注意が必要です。
ここでは、国際ロマンス詐欺とは何かについて紹介したうえで、マッチングアプリを利用した国際ロマンス詐欺の流れや具体的な手口を解説します。
国際ロマンス詐欺とは、外国人を名乗る者が恋愛感情を利用してお金をだまし取る詐欺のことです。
国際ロマンス詐欺では、詐欺師が外国人を名乗っているため、被害者と実際に会う事例はほとんどありません。詐欺師は、被害者と実際に会う前に、架空の投資話を持ちかけたり、来日のための費用を請求したりして、被害者からお金をだまし取ります。
国際ロマンス詐欺では送金方法として暗号資産や海外口座を利用するケースが多く、一度送金してしまったら、取り戻すのは極めて難しいです。
国際ロマンス詐欺を詳しく解説しています。
⇒急増する国際ロマンス詐欺とは?最新の手口を見抜くポイントや被害救済の方法を解説
マッチングアプリを利用した国際ロマンス詐欺は、次の4つのステップで行われます。
- マッチングアプリを利用して被害者と接触する
- 積極的なアプローチで被害者に恋愛感情を抱かせる
- さまざまな理由でお金を請求する
- 入金後は音信不通になる
国際ロマンス詐欺の詐欺師は、マッチングアプリでターゲットを探しています。外国人と会える、国際ロマンス詐欺の被害に遭う可能性もあるマッチングアプリとしては、次のようなものが挙げられます。
- マッチドットコム
- アンジュ
- マリッシュ
- ペアーズ
- Tinder
- タップル など
詐欺師は、被害者とのマッチングに成功すると、メッセージのやり取りで被害者との親交を深めます。その際、甘い言葉を投げかけたり、積極的なアプローチを繰り返したりして、被害者に恋愛感情を抱かせていくのです。一度も会うことがないまま、結婚の約束をするケースもあります。
被害者との仲を十分に深めたら、詐欺師はさまざまな理由をつけて被害者にお金を請求します。その際、お金をもらうというのではなく、「貸して欲しい」「一時的に立て替えて欲しい」などとするケースが多いです。お金が必要な理由としては、急病や将来の結婚資金、来日の費用などを挙げることが多いです。また、架空の投資話を持ちかける事例も多く報告されています。
一度、お金を支払ってしまったら、その後は音信不通になるケースが多いです。他の理由をつけて、何度もお金をだまし取るケースもあります。国際ロマンス詐欺では暗号通貨や海外口座でお金をやり取りすることが多く、詐欺師の正体やお金の行方を追えなくなってしまうことも多いです。
国際ロマンス詐欺の被害金について
⇒国際ロマンス詐欺の被害金を取り戻す方法|返金率が低くなるケースも分かる
ここでは、マッチングアプリを利用した国際ロマンス詐欺の実例を紹介します。
【事例①】
被害者:59歳男性
被害額:1億4,700万円
- マッチングアプリで台湾人を名乗る女性と出会う。
- メッセージのやり取りを通じて女性に好意を抱く。
- 女性から暗号資産の投資話を持ちかけられる。
- 33回にわたり、計1億4,700万円をだまし取られた。
【事例②】
被害者:60代男性
被害額:1,700万円
- マッチングアプリで中国人を名乗る女性と出会う。
- メッセージのやり取りを通じて、女性に好意を抱く。
- いつか一緒に暮らすためと言われて、お金を請求される。
- 計1,700万円をだまし取られた。
参照:「一緒に暮らしたい」国際ロマンス詐欺で1700万円被害 中国人女性名乗る相手からメッセージ 福島 | TBS NEWS DIG
近年、国際ロマンス詐欺の被害は増えており、新聞やニュースの報道を目にする機会も増えています。マッチングアプリやSNSで会ったこともない人と出会う機会のある方は、警戒心を持つことを忘れないようにしてください。
国際ロマンス詐欺は実際に会えるのか解説します。
⇒実際に会うことができる?国際ロマンス詐欺の実態と回避策
マッチングアプリを利用した国際ロマンス詐欺に遭わないための対策としては、次の5つが挙げられます。
- 登録されているプロフィールをよく確認する
- 生活時間や文法に不自然な点がないかを確認する
- 外部誘導や投資話には応じない
- 金銭のやり取りをしない
- 不信に思ったら第三者に相談する
実際に詐欺被害に遭うまでには、いくつかの段階が存在しています。どこかで「詐欺だ!」と気付けば被害は防げます。マッチングアプリで外国人とマッチングした際には、以下で紹介する対策を怠らないようにしてください。
詐欺師のプロフィールは、見栄えの良いものが多いです。
- 整いすぎたプロフィール写真
- 大げさなプロフィール
- 数千万・数億円の年収
- 医師やパイロットなどの魅力的な職業
プロフィールに、このような内容が並べられている場合には注意が必要です。
マッチングアプリによっては、本人確認の項目があります。詐欺師が本人確認を行うケースはほとんどないと考えられるため、本人確認がされているのかも詐欺師を見分ける重要なポイントとなるでしょう。
詐欺師が実際に外国で生活しているのならば、日本とは時差があります。また、本当に外国人であるならば、自国語の文法で間違うことはありません。
「現地時間では夜中のはずなのに頻繁にメッセージのやり取りがある」
「現地時間では勤務中のはずなのに、仕事終わりのようなやり取りがある」
「自国語のはずなのに文法に不自然な点がある」
こうした違和感がある場合には、プロフィールの情報と実際にメッセージをやり取りしている人物が別人である可能性が高いです。メッセージのやり取りで不自然に感じる点がある場合には、一度冷静な目でこれまでのやり取りを振り返ってみてください。
多くのマッチングアプリでは外部サイトへの誘導や投資への勧誘は、利用規約で禁止されています。
メッセージのやり取りで利用規約に違反するような、外部サイトへの誘導や投資への勧誘があった場合には、絶対に応じないようにしてください。
詐欺の被害を防ぐには、金銭のやり取りをしないことが何より重要です。いかなる理由があろうとも、会ったこともない人に送金するのは避けるべきです。
ロマンス詐欺の手口では、最初は少額から少しずつ高額を請求するケースも多くあります。少額であっても、1度金銭のやり取りをしてしまうと、積み重ねで高額の被害に繋がる可能性が高いでしょう。
詐欺のターゲットになっても、最終的に金銭のやり取りさえしなければ実害は防げます。メッセージのやり取りで金銭を要求された場合には、強い警戒心を持つことを忘れないようにしてください。
マッチングアプリのやり取りで不信に思うことがあれば、親や友人などの第三者に相談するようにしましょう。
ロマンス詐欺で詐欺師に恋愛感情を抱いてしまうと、自分自身では正常な判断ができない可能性が高いです。不信に思ったにもかかわらず誰にも相談せずにやり取りを続けると、大きな詐欺被害に遭う可能性があります。不信な点があれば、冷静に判断できる第三者にこれまでのやり取りを見てもらうことが重要です。
国際ロマンス詐欺に騙されないためのポイントを解説しています。
⇒国際ロマンス詐欺になぜ騙される?理由と騙されやすい人の特徴を解説
マッチングアプリを利用した国際ロマンス詐欺に遭ってしまった場合、主な相談先としては次の3つが挙げられます。
- 警察
- 銀行
- 弁護士
以下、それぞれの相談先で対応できることや特徴などについて解説します。
詐欺被害に遭ってしまったら、まずは警察に相談してください。
国際ロマンス詐欺では、犯人の情報を特定するのが難しいです。警察に相談すると、捜査によって犯人を特定し、犯人の検挙・逮捕につながる可能性があります。事例によっては、逮捕された犯人からお金が戻ってくることもあるでしょう。
しかし、警察の目的は、あくまで犯人の検挙です。返金による被害回復という観点からは、警察に相談するだけでは難しい場合も多いでしょう。
すぐに詐欺被害に気付いた場合には、銀行に相談するようにしてください。
振込先の口座が詐欺に利用している口座であることがわかれば、銀行が送金を取り消せる可能性もあります。また、詐欺師が国内の口座を利用していた場合には、口座の凍結や口座残高からの被害金分配の手続きを取ることも可能です。
被害金の返金を1番に考えるのであれば、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士は、訴訟や強制執行などの法的手段を駆使して返金のために動いてくれます。
ただし、国際ロマンス詐欺では、被害金を取り戻すことが難しいケースも多いです。弁護士に依頼しても、結局は取り戻せなかったという可能性も十分にあります。
弁護士に依頼する際には、相談の段階で取り戻せる可能性や費用を十分に確認するようにしてください。
国際ロマンス詐欺の返金を求める流れは、次のとおりです。
- 詐欺の相手方を特定する
- 詐欺の証拠を保存する
- 訴訟提起・強制執行
以下、それぞれの内容を具体的に解説します。
国際ロマンス詐欺では、加害者が何者であるかがわからないケースが多いです。情報を特定できなければ加害者と接触することすら難しいため、加害者を特定できるかが何よりも重要な問題となります。
加害者を特定する手段としては、警察の捜査、弁護士会照会、運営会社への照会などがあります。実際の事例では、この段階で手続きが止まってしまうケースも少なくありません。
被害金の返金を求めるには、詐欺の証拠が必要です。アプリのメッセージは相手に削除されてしまう可能性もあるため、スクリーンショットを撮ってやり取りを保存しておくようにしてください。
被害金を送金した際の口座情報も有力な証拠となりますので、送金記録についても保管しておくようにしましょう。
加害者の情報を特定できた場合には、訴訟や強制執行の手続きによって加害者の口座を差押えることができます。
加害者の口座にお金が残っていた場合や、詐欺の罪を軽くするために加害者が被害弁済を申し込んできた場合には、被害金を取り戻すことができます。
マッチングアプリを利用した国際ロマンス詐欺の被害は増えています。マッチングアプリで怪しいプロフィールの外国人とマッチングした場合には、十分に警戒するようにしてください。詐欺に遭わないためには、会ったこともない人とお金のやり取りをしないことが何より重要です。
詐欺被害に遭ってしまった場合は、警察だけでなく弁護士にも相談してみてください。無料相談を実施している事務所も多いので、まずは相談で返金される可能性や費用を確認したうえで、依頼するかどうかを決めることをおすすめします。