国際ロマンス詐欺の対応に弁護士は必要?メリットや費用について徹底解説

国際ロマンス詐欺の対応に弁護士は必要?メリットや費用について徹底解説

国際ロマンス詐欺に遭った場合、あなたならどんな選択肢を思い描きますか?

自治体に相談、警察に相談、弁護士相談、といったように相談窓口は多々あります。しかし、あなたの奪われたお金を取り返すお手伝いができるのは、実は弁護士しかいません。

なぜなら、自治体はアドバイスしかできませんし、警察は犯罪捜査がメインで返金請求のサポートをしてくれるわけではありません。とはいえ、弁護士と聞くとなんだか難しそうで、相談・依頼することに壁の高さを感じる方も多くいらっしゃいます。

そこで本記事では、国際ロマンス詐欺に出くわした場合、弁護士に依頼すべきかどうか、メリットや費用、選び方のポイントなどについて徹底解説していきます。

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国際ロマンス詐欺に遭ったときの対処法

国際ロマンス詐欺に遭ったときの対処法

国際ロマンス詐欺に遭った際の対処法は、いずれも迅速かつ適切な行動が求められます。対処が遅れてしまえばしまうほど、詐欺師に逃げる余地を残してしまうのです。

そこで、まずは国際ロマンス詐欺に遭ったときの初期対応として知っておきたいことと、法的措置の重要性、弁護士への相談タイミングについて詳しくご説明します。

初期対応として知っておきたいこと

最初に行うべきは、詐欺師とのすべてのコミュニケーションを停止することです。さらなる被害を防ぐためにも、これ以上の連絡は避け、詐欺師からの連絡も無視してください。

次に、詐欺の証拠を保持することが重要です。

メールやメッセージ、送金の記録、詐欺師のプロフィール画像など、関連するすべての情報を保存しましょう。詐欺の証拠は、後の法的手続きの際に重要な足がかりとなります。

また、振り込みをした金融機関に連絡を取り、詐欺取引の事実を報告することも重要です。可能であれば、詐欺師に送金した金額の返金ができないか、相談してみるのも良いでしょう。

さらに、警察に詐欺被害を報告し、指示を仰ぐことも重要です。

警察は、返金請求のサポートはしてくれませんが、証拠の提供によって犯人逮捕の可能性が高まります。被害の実態を伝えることが、将来的な詐欺防止に繋がるのです。

法的措置の重要性と弁護士への相談タイミング

国際ロマンス詐欺に遭った場合、返金を求めるのであれば法的措置を検討すべきです。

詐欺師には、あなたから不当に得たお金を返金する責任が生じています。しかし、国際ロマンス詐欺の場合、詐欺師の正確な情報が手元にないと、簡単に返金してもらえないのが現実です。現在保持している情報で返金請求が可能か、必ず弁護士に相談することが重要です。

弁護士への相談タイミングは、詐欺を認識し、初期対応を講じた後が適切です。

ただし、被害額が大きい場合は、より確実に初期対応を終えるために、早めに弁護士に相談することをお勧めします。弁護士は、詐欺の性質を正確に判断し、最適な対処法を提案してくれます。

国際ロマンス詐欺に遭遇した際は、感情に流されず、冷静に初期対応を行い、迅速に弁護士に相談することが被害の拡大を防ぎ、返金の可能性を高めるために重要です。

国際ロマンス詐欺において弁護士が対応できること

国際ロマンス詐欺において弁護士が対応できること

国際ロマンス詐欺に遭った場合、弁護士は被害者の強い味方になってくれます。

詐欺師による手口を分析し、法的知識と経験をもって、返金請求に向けて幅広い対応を行うことができます。以下では、弁護士が対応できることについてまとめてみました。

返金請求の対象者の特定

国際ロマンス詐欺の場合、最も困難で重要なのが詐欺師の特定です。

まずは、あなたが保持しているすべての証拠を弁護士に確認してもらいましょう。その情報で詐欺師を特定できれば、具体的な返金請求へと移行できます。

しかし、情報が不足していたとしても、弁護士であれば職権によって各機関に必要事項の提出を求めることができます。これを「弁護士照会(23条照会)」といって、弁護士が詐欺師の氏名や住所、連絡先などを特定するために行える法的手段の1つです。

振込先口座の凍結要請

銀行経由で詐欺師に送金していた場合、振込先の口座情報が手元にあるはずです。

通常、詐欺師に送金されたお金は、即座に他の口座へと移されることがほとんどです。しかし、対応が早ければ、金融機関に対して振込先口座の凍結を要請できます。

弁護士はあなたの代わりに、金融機関に口座の凍結要請を行ってくれます。振込先口座が凍結されれば被害金の流出を防ぐことができ、返金の可能性を高めることができます。

被害回復分配金の代理申請

各金融機関は、送金先の口座が犯罪利用口座であると判断した場合、「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(振り込め詐欺救済法)」によって、被害回復分配金を行ってくれます。

ただし、分配金は放っておけば勝手に手元に入るわけではありません。この法律が定める手続きを経た上で、失った振込金を上限に支払いが実施されます。

弁護士であれば、この手続きを代理で行ってくれるため、あなたは手続きが終わるのを待っていれば分配金の支払いを受けることができます。

被害金の返金請求(裁判・強制執行)

被害回復分配金は非常に有効な手段です。しかし、それだけでは、あなたの騙されたお金が全額返ってくる可能性は低いです。なぜなら、詐欺師はすぐに資金を口座移動させ、いわゆるマネーロンダリングによって足がつかないような対策をしています。

よって、犯罪利用口座に現金が丸々残っているケース自体が稀で、被害回復分配金で満額返金されるケースはあまりないのが現実です。

そういった場合、詐欺師に裁判を提起し、返金を求めるしか満額回収の方法はありません。

もし、詐欺師の特定ができているのであれば、弁護士に裁判を委ねるのも良い方法です。最終的には、強制執行という手続きで、詐欺師の財産を強制的に差し押さえることも可能です。

国際ロマンス詐欺についてはコチラの記事
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国際ロマンス詐欺を依頼した場合の一般的な費用相場

国際ロマンス詐欺を依頼した場合の一般的な費用相場

国際ロマンス詐欺に遭った場合、弁護士への相談が解決の糸口になる可能性は高いです。

しかし、弁護士に相談・依頼するとなれば、費用が発生してしまいます。そこで、以下では国際ロマンス詐欺を依頼した場合の一般的な費用相場についてご紹介します。

一般的な弁護士費用の相場

弁護士費用は、以前まで日本弁護士連合会による報酬基準が採用されていました。

しかし、現在は自由化され、各弁護士事務所で自由に定めています。とはいえ、基本的には報酬基準を参考にしている事務所がほとんどであるため、費用相場としてご紹介します。

法律相談

法律相談にかかる費用は、30分ごとに5,000~10,000円となっています。

ただ、現在は法律相談を無料で行っている事務所が増えています。特に、初回相談無料を掲げている事務所は数多くあるため、積極的に利用することをお勧めします。

着手金

着手金とは、手続きに着手する際に必ずかかる費用です。途中で手続きを断念した場合も、原則として着手金が返ってくることはないので注意しましょう。

着手金の最低額は10万円となっていて、取り扱う金額が大きい場合は、経済的利益の2~8%程度が着手金の相場です。経済的利益とは、手続きが解決した際に依頼人が得ることのできる利益をお金に換算したものです。

昨今では、着手金無料という事務所も増えてきました。しかし、その分、報酬金が高く設定されていたり、その他の費用に手数料が上乗せされたりといったケースもあります。

弁護士に依頼する際は、具体的な金額を確認してから依頼するのが重要です。

報酬金

報酬金とは、手続きがすべて完遂した場合に発生する費用です。一般的な相場としては、実際に得た経済的利益の4~16%程度となっています。

詐欺師からお金を回収できなかった場合は、報酬金が発生することはありません。

その他の費用

弁護士に対しては、その他の費用が発生する場合があります。たとえば、遠征した場合の日当や移動費といった実費がこちらに該当します。

その他の費用については、実際にかかった費用をそのまま請求されるケースもあれば、手数料を上乗せされるケースもあるため、事務所ごとに確認が必要です。

費用が高額になる要因

弁護士費用というのは、原則として依頼する際にある程度金額が判明し、その上で依頼するかどうかを検討できます。なぜなら、国際ロマンス詐欺の場合、被害金額が明確に判明しているため、被害金額ベースで算出すればおのずと弁護士費用のトータルを算出できます。

それにも関わらず高額になってしまう理由は、その他の費用にあります。

事件解決のための手続きが増えれば手数料が上乗せされ、どこかへ遠征の必要があれば日当や交通費を上乗せされることになります。よって、弁護士に依頼する際は、着手金や報酬金だけでなく、その他の費用の内訳にも注目してください。

なお、弁護士費用を極力抑えたい方は、積極的に無料相談を利用し、着手金や報酬金のパーセンテージが低い事務所を探すのが良いでしょう。

ただし、費用が安いからという理由だけで依頼するのは避けてください。本当に信頼できると感じた弁護士に依頼することを強く推奨します。

国際ロマンス詐欺を弁護士に相談・依頼するメリット

国際ロマンス詐欺を弁護士に相談・依頼するメリット

国際ロマンス詐欺は、被害者だけで対応することも可能ですが、慣れない法的措置を講じるのは簡単ではありません。もし、ご自身だけでは不安という場合、弁護士への相談・依頼を検討すべきです。

そこで以下では、国際ロマンス詐欺を弁護士に相談・依頼するメリットについてご紹介します。

法律問題のプロによる的確なアドバイス

国際ロマンス詐欺でもっとも重要なのは、騙し取られたお金が返ってくるかどうかです。返金の可能性がないのであれば、どのような手続きを経ても無駄足でしかありません。

その点、弁護士であれば法律を熟知しているため、現状から導き出せる最適な方法を的確にアドバイスしてもらえるメリットがあります。手続きを続行すべきかどうか、弁護士に依頼すべきかどうかは、アドバイスを受けた後に判断するのがおすすめです。

法的手続きを使った解決策の提案

弁護士であれば、さまざまな法的手続きを使った解決策の提案が可能です。

詐欺師に返金請求するにはどういった手続きがあるのか、詐欺師を特定するためにはどういった方法があるのかなど、具体的な解決策を提案してもらえます。

また、実際に依頼するとなれば、あなたの代理で手続きを行ってくれます。報告を待っているだけで手続きはどんどん進んでいく点は、大きなメリットと言えるでしょう。

ただし、弁護士にも得手不得手があるため、相談した弁護士に回収は難しいと言われたからといって諦めるべきではありません。弁護士によって得意な分野、法的な見解は異なるため、何人かの弁護士に相談してみることも重要です。

精神的負担の軽減

国際ロマンス詐欺の被害に遭うと、金銭的な損失だけでなく、精神的なダメージも大きいものです。自分ひとりで解決しようとすると、ストレスはさらに増大します。

しかし、弁護士に依頼することで、法的な手続きをすべて任せることができ、自身は精神面の回復に専念できるメリットがあります。また、弁護士は依頼者の精神的なサポートも行い、不安や疑問に対して適切なアドバイスを行うことで、心的負担を軽減してくれます。

国際ロマンス詐欺を弁護士に相談・依頼するデメリット

国際ロマンス詐欺を弁護士に相談・依頼するデメリット

国際ロマンス詐欺の被害に遭遇した際、弁護士に相談・依頼することで多くのメリットを受けられる一方で、いくつかのデメリットも存在します。

以下では、弁護士に依頼することで生じる、具体的なデメリットについてご紹介します。

費用がかかってしまう

弁護士への相談だけであれば、無料相談を実施している事務所の利用で金銭的負担はなくなります。しかし、実際に依頼するとなれば費用負担は避けられません。

また、初回相談無料の事務所であっても、2回目以降は相談料を取られてしまいます。

弁護士に相談・依頼することで受けられるメリットは大きなものですが、費用がかかってしまう点はデメリットと言えるでしょう。特に、国際ロマンス詐欺によって金銭的被害に遭っていることを考えると、依頼すべきかどうかは慎重に判断すべきです。

必ず解決できるとは限らない

弁護士に依頼したからといって、必ず手元にお金が戻ってくるわけではありません。

もちろん弁護士は可能な限りの策を講じてくれます。しかし、それらすべてが必ずしも報われるとは限らないため、依頼する際は注意が必要です。

弁護士選びのポイント

弁護士選びのポイント

では最後に、弁護士選びのポイントについてもご紹介します。

以下を参考に、現状を打開してくれる弁護士を探してみてください。

国際ロマンス詐欺に対応できる弁護士とは?

国際ロマンス詐欺は、ここ数年で一気に被害が増え始めた比較的新しいタイプの詐欺です。

よって、国際ロマンス詐欺に的確に対応できる弁護士というのは、実はそれほど多くはありません。料理人に和食やフレンチといった具体に得意分野があるように、弁護士にも借金問題や離婚、刑事事件といったように得意な分野があるのです。

国際ロマンス詐欺に対応できるかどうかを確認する方法は、事務所のホームページを参考にするのが良い方法です。国際ロマンス詐欺といった、昨今の詐欺事情に対する見解や、対策について掲載されている弁護士事務所であれば、的確な対応が期待できます。

無料法律相談の有効活用

弁護士選びをする際は、無料法律相談を有効活用しましょう。

昨今の弁護士業界の傾向として、無料法律相談を実施する事務所が増えてきています。

特に、国際ロマンス詐欺の場合、すでに金銭的な被害に遭っていることを踏まえると、法律相談に高額なお金をかけるのは賢明とは言えません。まずは、無料法律相談を利用し、現状取り得る方法について、弁護士からアドバイスをもらうのがおすすめです。

とはいえ、どのような方法で法律事務所を探せばよいかわからない方も多いはずです。

そこで、いくつか窓口をご紹介します。無料法律相談を活用したい場合は、以下の窓口をうまく利用してください。

近所の法律事務所

弁護士に相談する際は、アクセスの良さも重要です。近所の法律事務所は真っ先に候補に入ってきます。現代はインターネットで検索をかけるだけで、近所の法律事務所を簡単に見つけることができます。

事務所ホームページに掲載されている情報を参考にしながら、無料法律相談を実施している事務所を探してみましょう。

自治体が実施する法律相談

弁護士を探す際は、自治体が実施している法律相談もおすすめです。

あなたが住んでいる市区町村役場では、定期的に法律相談を実施している可能性があります。地域ごとに現役で活躍している弁護士から、無料でアドバイスを受けられます。

ただし、予約制であることがほとんどのため、まずは自治体に問い合わせてみることからはじめてみるのが良いでしょう。

地域の弁護士会

弁護士というのは、弁護士会に所属していなければ活動を行うことができません。

この弁護士会は、地方裁判所の管轄区域ごとに設置されているため、日本には52もの弁護士会が存在しています。さらに、弁護士会ごとに支部も設置されているため、あなたのお住いの近くにも、必ず弁護士会が設置されています。

弁護士会では、随時法律相談を受け付けているため、お近くの弁護士会に問い合わせてみるのも良い方法です。ただし、地域によって無料の法律相談は実施していないため、費用がかかるかどうかについて、必ず確認してから予約を取ることを推奨します。

法テラス

無料法律相談を利用したい場合は、法テラスの利用もおすすめです。

法テラスとは、「日本司法支援センター」の略称で、国によって設立された機関です。経済的な余裕がない方に向けて、無料法律相談や弁護士費用の立替制度を行っています。

また、原則として、収入や資産が一定以下であるといった条件がありますが、同一内容の相談は3回まで無料で実施可能です。要件にマッチする方は積極的に利用しましょう。

法テラス:https://www.houterasu.or.jp/index.html

まとめ

国際ロマンス詐欺は、被害者自身で対処することが困難な場合が多くあります。

このような詐欺に遭遇した際、自治体や警察に相談することも一つの手段ですが、実際に失われた資金を取り戻す具体的なサポートしてくれるのは弁護士のみです。

弁護士に相談・依頼することは、多くのメリットがある反面、デメリットも存在します。弁護士に依頼する際は、費用相場を理解し、自身の状況に最適な選択をしてください。

そして、最終的に弁護士に依頼するかどうかは、無料法律相談を有効活用し、複数の弁護士の意見を聞いてみるのがおすすめです。弁護士選びにおいては、数多くの無料相談の場が提供されています。うまく活用しながら信頼できる弁護士を見つけてください。

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